REPORT

天神ビッグバンから考えるニューノーマル
~都市再開発で変わる「街」と「ワークスタイル」~
開催レポート


街・オフィス・暮らしが混在する天神における都市再開発「天神ビッグバン」を題材に、どのような街にしていきたいか?についてセッションしていただきました。ご登壇者は、九州大学で都市開発を研究されています黒瀬先生と天神と言えばこの方!さまざまな顔を持つテンジン大学学長の岩永さん。そしてファシリテータは、国内外を問わず"ハタラク"を発信しているオカムラWORK MILL編集長の山田です。簡単にレポートさせていただきます。

街の共用部とは?

黒瀬:都市開発で注目されるのが高いビルだけではなく、街の共用部をどのように活かせばいいのか?を本セミナーで話し合いたいなと思っています。
山田:オフィスも均一的なものから共用部が増えてリビング化といわれる場が求められることが多くなっています。街の共用部もリビングという言葉に言い換えられるのかなと思うのですが、これについてどう思いますか?
岩永:ビルにはセキュリティも必要だと思いますが、リビングのようなグレーゾーンも必要だと思います。
黒瀬:ガチガチのセキュリティがあると、ウロウロしてバッタリ誰かに会うということがなくなって、想像性が刺激されなくなってしまいますよね。これは今からの時代とは逆行しているように感じます。
岩永:単純にカフェやコワーキングが増えればいいというわけではない気がします。街で活躍する人はオンライン・オフライン関係なく、自由度の高い働き方ができる方や人と人とをつなぐ役割の方が重要なのかなと思います。また、人がつながりやすいシステムやグレーゾーンを街の中につくることも必要なのかなと思います。
山田:オフィスの中でもグレーゾーンは重要だと思っています。今までは目的別にオフィスをつくってきましたが、それだとバッタリ会うなどの偶発性がうまれませんよね。数値化できない場というのをオフィスだけでなく街においてもみんなで仕掛けていく勇気が必要なのかなと思います。
岩永:最近ではオフィス空間の用途が溶けていってますよね。同様に今後はオンラインとオフラインの境目も溶けていくと思います。
黒瀬:溶けているというキーワードとてもいいですね。天神ビッグバンもどこを新しくしたのか迷うほど溶けていてほしいなと思いますね。
岩永:今の天神も地下街ではかなり繋がっていて、それが歩く楽しさだと思います。

「働く」における都市の価値と意味とは?

山田:「働く」における都市の価値と意味は何だと思いますか?
岩永:街に出る意味を考えた時に、通勤が必要だったと気付いた方も多いのかなと思います。それは、ノイズという情報刺激が街にあったこと、バッタリ人に会うという偶発的なことが起きていたこと。そして、自分自身も歩くことで他者へのノイズになっていたということです。
黒瀬:確かにそうですね。コロナで大学へ行く機会が少なくなって、学生と雑談する機会が減りました。その雑談から拾っていた良いノイズも悪いノイズも聞き取ることがなくなってしまったなと感じます。予期しない刺激を受ける大切さというのをもっと考えないといけないのかなと思います。逆に言うと、そういう刺激がないと街に出てオフィスに行く意味がないのかなと思いました。
岩永:あとは、多方面からの移動距離の総和がクリエイティブな仕事を発揮するのに重要なのかなと思っています。そういう意味では、九州中ではなく世界中から集まる天神にしていかないといけないですね。
黒瀬:人の出入りが多いところ、ノイズの数が多いほど面白いオフィスや街ができるのかなと思いました。
山田:キレイではなく、逆にノイズをつくるということに向けてどうチャレンジしていくのか気になるところですね。ちなみに、天神ビッグバンが完成したら、ずばり挑戦したいことは何かありますか?
岩瀬:天神の街をどれだけセキュリティにひっかかることなく自由に歩けるのかというのを挑戦したいですね。
山田:顔パスですね。
黒瀬:顔パスいいですね。その人の信用さえあれば、顔パスでビルの中を通れるというシステムがあれば、天神で働くことの特別感を感じ取れますよね。あの企業のオフィスは面白いから今日はそこで働いてみようとか自由に選択することもできますよね。そうすると面白いオフィスを作れば、面白い人が集まってくる。その結果、会社も面白い事が出来るという仕組みが出来上がるのかもしれませんね。
あとは、かっこいいビルを建設することだけに投資をするのではなく、そこで面白いことをする人に対しての投資を是非考えて欲しいなと思います。

「街」を違う言葉で言い換えるなら?

山田:最後に質問です。「街」を違う言葉で言い換えるなら、何でしょうか?
黒瀬:「混」です。普段は合わないヒトやモノが混ざるのが街なのかなと思いました。
岩永:「促」です。街は歩いてなんぼだなと思うのと、歩いているとイレギュラーなことが起きることが街なのかなと思いました。

 

次のステージへと向かっている天神ビッグバンプロジェクト。注目されやすい高いビルだけではなく、ヒトやモノが混在する街の共用部のあり方についてもっと深堀りしたいなと思わされました。

ご登壇いただきました皆様ありがとうございました!
そして、ご視聴くださいました皆様ありがとうございました!

グラフィックレコード

グラフィックレコーダー:德永 美紗さん

前回のイベントでもお願いしました德永さんに再びグラフィックレコードを描いてもらいました!今回も可愛くて分かりやすい素敵なグラレコをありがとうございます!

グラフィックレコーダーは、德永 美紗さん(FB: https://www.facebook.com/toku.misa.33) です。

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