REPORT

ニューノーマル時代に必要なオープンイノベーション
~創刊144年、地方新聞社の挑戦~
開催レポート


事業構想大学院大学との共創オンラインイベント第5弾を7月1日に開催しました。
オープンイノベーションの必要性と西日本新聞社の取り組みについて、その面白さだけでなく抱えている課題など包み隠さずお話いただきました。ご登壇者は、事業構想大学院大学 石井先生と西日本新聞社 清田さんです。
簡単にレポートいたします。

オープンイノベーションの必要性とは?

オープンイノベーションと聞いて連想される言葉は、ビジネスモデル・エコシステム・働き方改革かなと思います。

オープンイノベーションとは、ビジネスモデルの1類型であり、企業のビジネスの仕方(儲け方)そのものであると言えます。
競争戦略論の観点では、経営者層が考える戦略だけではなく、現場の営業や技術者が顧客の反応の中で自然発生的に作られていく戦略が融合したものを実行することが必要だと思っています。

組織が学ぶにはどのようにしたらいいのでしょうか?
「両利きの経営」でも示されているように、企業は「知の探索」と「知の深化」が必要です。
しかし実際にはこのバランスが難しく、ほとんどの企業は「知の深化」(=日常業務)に力を注いでしまい、「知の探索」が疎かになってしまう傾向にあります。

つまりオープンイノベーションとは、「両利きの経営」をしていくための1つの方策だと言えます。
エコシステムというのは、情報交換や事業を一緒にしていくことで企業の境界が薄まっていくということ。
働き方改革とは、組織が変化していく中で自分自身はどう変化していくのかを考える必要性がでてくるということです。

西日本新聞社の取り組みについて

新聞社の新規事業における障壁として私が考えることは大きく4つあります。
・ビジネスモデルが確立され過ぎているために、現状の環境に依存、硬直化しているということ
・今の環境が正しいという誤解や新しいことへの抵抗などがあること
・新規事業は市場が小さく、利益率も低いので新規投資をリスクと感じる文化があること
・既存組織の人事制度や評価基準があわないということ
そういった障壁の中、2016年4月にビジネス開発部として新規事業の専門部署が発足しました。当初は3名だった部員が現在は11名と徐々に大きくなりつつあります。

具体的な事例として「生活の窓口」という社内公募制で事業化されたものをご紹介します。
これは、お金や暮らしにまつわるワンストップ相談窓口サービスで、新聞社が持つリソースを活かし、相談者とのマッチングを目的にしたサービスとして立ち上がりました。しかし、相談者のニーズや声を拾ううちに、資格取得の情報などさまざまなサービスを提供することに展開していきました。
社内公募でスタートした事業ですが、顧客のニーズを聞きながら事業展開を広げているという意味ではオープンイノベーションの事例として挙げられると思っています。

本レポートでは割愛しますが、「生活の窓口」のほかにもいくつか事例紹介をいただきました。

オープンイノベーションに取り組む意義としては、下記4つが挙げられます。
・内部からではなかなか見出せない経営資源の活用方法の発見ができること
・働き方や業務の方法、チャットワークなどのビジネスツールを取り入れやすいこと
・社外から異文化を持ち込むことでスモールスタートがしやすいこと
・社外が持っている技術を活かすことでスピード感を持った取り組みができること

Q&A

質問:オープンイノベーションを実施するにあたり不安はありましたか?
清田:未知で正解のない部分でもあるので常に不安はありますが、パートナーさんと信頼してやりきっていくことが大事だと考えています。

質問:社内でオープンイノベーション推進にあたって、何が推進のポイントになりますか?
清田:全く持っていなかった文化や発想を社外のパートナーさんを巻き込んだ形で説明していくのは有効だと思います。

質問:社内にオープンイノベーションを導入し実装するために最も重要なことは何でしょうか。
石井:経営陣のコミットだと思います。社長が「新しい取り組みは必要だ」ということを社内外にメッセージを出すのが重要だと思います。

 

他にもたくさんのご質問をいただきました。ありがとうございました。

最後にメッセージ

清田:遊びごころをいかに持って実践できるかが大事だと思います。あとは、計画通りに進むことがほぼないと思いますので、ブレーキの”あそび”じゃないですが、そういうシチュエーションになった時に決めつけずに柔軟な姿勢が必要だと思います。

石井:オープンイノベーションは働き方変革に結び付きます。本日は組織がイノベーションを起こしていくにはどうしたらいいのかを話しましたが、それよりも大事なのは、自分自身のキャリアについて真剣に考える必要があります。組織自体が境界を超えてどんどん変化していくわけですから、自分のリソースや能力をどうやって活かしていくのかを考えましょう。
迷ったら大学院へ通うというのも一つの方法です!

 

石井先生、清田さん、貴重なお話をありがとうございました!!
オープンイノベーションや新規事業での苦悩など言いにくいこともたくさんお話いただき、非常に勉強になりました。
ご参加くださいました皆様もありがとうございました!!

学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学は、文部科学省の認可を得て2012年4月に東京・南青山に開学した社会人向け大学院です。
院生は新事業・事業構想を研究し、これまでに264名の修了生が事業構想修士(MPD)の学位を取得し、各所で活躍しています。現在は、東京・大阪・名古屋・福岡に校舎があり、多様なバックグラウンドを持つ院生が自らの資源・関心事をもとに大学院の人脈と環境を生かし、事業構想を練っています。
現在、2021年度入学に向けた【オンライン説明会・個別相談会】を開催中です。
ご興味のある方は、ぜひご参加ください。https://www.mpd.ac.jp/

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